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    突然はじまつたこの二人の親密な往来を、小谷は苦笑しながら、半ば無関心で眺めた。女といふものは妙なことから仲よくなるものだ、と思つた。が、由子の口から盛子のことを聞くにしたがつて、彼は高間医院について満ざら他人でもないやうな気に自然となつた。

    並んで立つと、いきなり

    半シャツの男は房一の前に来て、はじめてお辞儀らしい格好をした。

    むかしからおれとこの人とは仲よしだつた――それは押しかくすことのできない悦ばしさだつた。

    房一は目を輝かせて云つた。

    「それで、近く片づきさうなんですか」

    「いや、そんなこたあ、――そんなこたあしませんよ」

    「あんたは鮒をたべなさるかね」

    最後に行つた家は河上の小一里るある辺で、そこいらは人家は数へるほどしかなく、河つ縁ぷちに沿つた段々畑の中を幅の広い国道だけがほの白く浮いて、次第下りに河原町の方へつゞいていた。軽くペタルを踏むだけで、彼の乗つた自転車は半ばひとりでに快い同じ速度で走つた。

    その時、突然練吉は、房一がさう云ひかけたまゝ当惑した表情になつたのを見た。

    「それが、その、来ないわけがあるのさ」

    「私もこれで元は法律書生でしてね。司法官か弁護士試験でも受けるつもりで、神田の私立大学に通つていたもんです」

    河原の端にある高い築堤の上で、白い割烹着かつぽうぎを着た女が、口に手をあてて何か叫んでいた。

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