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その時、又あの鈍い重量のある音が下流の方からどよめいて来た。それは前のよりもはるかに大きく、つゞけさまだつた。
「おい」と盛子を呼ぶ声がした。
御大典とそれにつゞく奉祝日は瞬またゝくまに過ぎ去つた。
「はい、若先生に代りに行つてもらへとおつしやいました」
と、加藤巡査はくり返した。
「いや、私はすぐこの近くで医者をしとる、高間といふ者ですが」
「わたしやア――」
喜作は、
看護婦がそつと上つて来た。
男は眼を閉ぢた。何も答へなかつた。
人に話しかけるときにも半分はきまつて独り言のやうになつてしまふ義母はどうもつれ合ひの道平の癖が丸うつりになつたものらしい。だが、道平の声音こわねはあまり響かないぽつりぽつり石ころを並べるやうな調子だつたのにひきかへ、この義母のは突拍子もなく起つて又駆足で空の向ふに消えてゆくやうな大声だつた。
「その首はどんな顔をしていた」と、友達のひとりが訊いた。
「えらい昔話が又ぶり返したんだな」
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