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「なあ、ジョン!」
「ねえ、高間さん。どうもこの追鮎は背中に掛り傷があるんで元気がないですよ」
「やつは、わつしの土方家業がえらい嫌ひでしてな」と、彼は云つた。
「さあ、知らん」
「何をするかつ」
「よく来て下さいましたな。何しろ不便なところですから、途中が大変だつたでせう」
見る見る癇癪かんしやくを起しさうになつた練吉は、その時ふと或ることを思ひ出して黙つた。
徳次は足を踏ん張つて立ち、まだそこら中を見まはしていた。房一はちらりとその顔を見たが、黙つて片づけていた。
「はあ、はあ」
関西訛なまりの特長のある呼び方で、彼はちよつと頭を下げた。それはお辞儀といふよりも、何か強談を持ちかけるといつた工合の、一種の身構への感じられる強きつい調子だつた。
房一は生返事をしてからふり向き、うなづいて見せた。彼はよく聞いてはいなかつた。
「や、それでは――」
「痛むか?」
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