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    「大きに。ありがたうござんす。よろしう頼んます」

    間もなく房一が帰つて来たらしい。

    「あ、いゝ、いゝ。なんでもありやしない。今すぐ行かう」

    「おい、早く早く」

    老父の道平が卒倒した今はちやうど房一の忙しい時期だつた。と云ふのは、彼の患者の大部分を占めている農夫達は農閑期に入ると、それまでがまんをしていたために急に病気になつたり、ぶり返したりするのであつた。道平はここ三四日の間が危険期だつた。房一は殆どつき切りで、間には何度も家の方へ来る患者の診察にも帰らねばならなかつた。

    「今日はほんの御挨拶に上つたので、いづれ又ゆつくり――」

    義母は明日も片づけ仕事が残つているので泊つて行くことになつた。

    「ね、お母あさん。これ、こんなに汚いでせう。もう少し……たいんですけど。……でせうねえ」

    と、下の男は睨み上げた。

    「獲とれましたか」

    盛子は風呂場の入口で上はずつた声を出した。

    「ぜひ、さういふことに」

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