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入るなり、
「わたし、あれらしいのよ」
築地には四五本の木材が立てかけられて、玄関に通じる石畳の上には鉋屑が一杯に散らばつていた。その白いのや紅味がかつた真新しい木の色はふしぎな生気をこの家に与へていた。あの低い大きな屋根がぐつと身を起したやうにさへ見える。
「どうですか、掛りさうかね」
あの鍵屋の法事の席には小谷も居含せた。彼はそこで殆どはじめてと云つてもいゝ位に高間房一を見、その思ひ切つた振舞を目にした。房一の去つた後では誰も何も云ひはしなかつた。彼等はたゞ黙つて見送つただけであつた。だが、房一の印象は強く皆の頭に灼やきつけられた。何かしら挑いどむやうな、強したゝかな足どり、――だが、それは表面筋が通つていて誹難することはできなかつた。
「まあ、――上の町の大石さんとこ位は行つとくのもよからうが」
「お噂はうけたまはつています」
心持照れ臭さげにしながらも、盛子は快活などこか家庭的な確しつかりさといつた風なものを現して、この一日造りの漁師達を眺めた。
「やあ、今晩は」
半ば感心し、半ば疑はしさうに、彼は指を自分の眼に向けてみた。
男は力なげに口をあけていた。
「いや、まだ」
「さういふあんたはどなたで?」
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