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    「さうよ。てめえはその大将だらう」

    「あなたは、多分――」

    房一は苦笑した。

    「先代がぽつくり死にましてね。おかげでこんな所へ引つこむやうになつてしまつたんですが」

    練吉はさつきから一人で喋つていた。

    「私共は、これも(練吉を指して)この町の医者です。実は火事だといふから駆けつけたので。聞けば、演習だといふことですが、それなら前もつて町役場なり駐在所なりへ通知があるべき筈だと思ひますが、それはなさつたでせうな」

    気がつくと、ふしぎな位人影がちつとも見えなかつた。よく乾いた路がのんびりとした曲り工合を見せて前方を走つていた。部落のとつつきの石垣の突き出た農家の先を曲ると急に家並びが見えて来た。

    と、房一はぐいと身体を起した。それがあまり突然だつたので、傍にいた徳次は慌てて立ち上つた。

    そして、少し横手に身をひきながら、しげしげと房一を眺めた。感慨無量、と云つた態ていであつた。

    「いや、そのうち又ゆつくり話さう」

    「御病人はどちらで?」

    その外から見れば屋根と築地塀だけのやうな家の前で、三人の男が立つてしきりと話していた。

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