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    「小倉組の連中が来たちふぢやないかね。ほんとうかね」

    二人は間近かで眩まぶしげに眺め合つた。そのまますれちがつて、二三間行きすぎた頃、房一が見送り気味にふりかへるのと、相手が車の上から首をねぢ向けるのと同時だつた。そのはずみに男はひよいと地上に降り立つた。

    「いや、どうぞ構はんで下さい」

    小谷は疳高い声で云つた。

    「三人どころぢやない、五人も十人もある」

    間もなく房一は別れを告げ、庭前で又馬の前に立つて二三の話をし、相沢の家を立去つて行つた。相沢のやうな家を患家に持つことは、十軒もの小患家を得たに匹敵すると、ひそかに満足しながら。そして、今日のもてなし方から考へると、医者として十分好意を与へたにちがひない、といふことにも満足しながら。

    と、誰かが大声で叫んだ。

    男は病人から房一へぎろりと眼を移すと、

    「あいつらと来たら、すぐこれ!だからね」

    「どうぞよろしくお願ひします」

    「わたしの方でも、もう一度こちらから上つて、お目にかかりたいと思つていたところなんですよ。――今日はこんな所で、じつさいいゝ案配でした」

    練吉はそれなり黙つた。

    「先生お帰りになりましたかね」

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