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    だが、道楽息子にはちがひなかつたが、それだけでは済まないものがあつた。正文はそのはつきりと理解できないこみ入つた或る物が、単にあらゆるものを切りすててもなほ残る、あの単純な愛情だといふことには気がつかなかつたが、漠然とそれに惹かれた。

    「それで、近く片づきさうなんですか」

    「さうさう、先だつてはお加減がわるかつたさうですが――」

    「さうかの。だが、さう云うても――」

    と訊いた。

    房一の魚籠びくをのぞいて、盛子はびつくりしたやうに叫んだ。

    「しかしお松の生んだ子はほんとうに半之丞の子だったんですか?」

    「どこの帰りかね」

    富田はすぐ又自分の方に話をひきとつた。

    「まあ、――上の町の大石さんとこ位は行つとくのもよからうが」

    「それあきまつてる、猟銃だもの」

    「さやうで御座りますか。お忙しいところを御苦労さまで」

    「一昨年の水で流れちやつたからそのまゝになつてるね――ずつと下にはあるが、さあ、そこへ廻ると半路はんみち以上ちがふかな」

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